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銀河鉄道の夜
ボード 油彩そしてジョバンニは青い琴の星が、 三つにも四つにもなって、 ちらちら瞬き、 脚が何べんも出たり引っ込んだりして、 とうとう蕈のように長く延びるのを見ました。 またすぐ眼の下のまちまでがやっぱりぼんやりしたたくさんの星の集りか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。
そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって、 しばらく蛍のように、 ぺかぺか消えたりともったりしているのを見ました。 それはだんだんはっきりして、 とうとうりんとうごかないようになり、 濃い鋼青のそらの野原にたちました。 いま新らしく灼いたばかりの青い鋼の板のような、 そらの野原に、 まっすぐにすきっと立ったのです。
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より